今日は中性脂肪についてのお話しです。
健康診断で「中性脂肪の数値が高い」と指摘され、食事の内容を見直そうとする人も多いと思います。
またダイエットをする際にも脂肪を減らしていく為気を付けている方も多いと思います。
でも、中性脂肪を減らすには、どんな食事を心がければ良いのでしょうか?
食事は毎日行うことですから、いくら「食事に気をつけよう!」と張り切っても、無理や我慢があっては継続するのが困難です。
それでは、どんなことに注意すれば、中性脂肪を減らすことができるのでしょうか?
中性脂肪とは?
簡単に説明すると、中性脂肪とは、エネルギー源であるブドウ糖が体内で不足した場合、それを補うためのものです。
つまり、食事によって体内に取り込まれたエネルギーが余った場合、肝臓で中性脂肪が合成され、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられるのです。
体に関する言葉の中で、「脂肪」という単語がつく言葉はいくつかあります。「皮下脂肪」や「内臓脂肪」も、とても馴染みの深い言葉ですよね。
他には「体脂肪」という言葉もあります。
それでは、これらと「中性脂肪」はどう違うのでしょう。その違いを見比べてみましょう。
わかりやすく解説すると、次のようになります。
・「体脂肪」=体に蓄えられる脂肪の総称。中性脂肪がもとになっている。体脂肪は脂肪がつく場所により、「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に分けられる。
・「皮下脂肪」=皮膚の下にある皮下組織という部分につく脂肪。外界との温度差から体を守ったり、ぶつかった時の衝撃を吸収したりする。男性よりも女性につきやすい。
・「内臓脂肪」=内臓の周りにつく脂肪。溜まりやすく、落ちやすい。男性や閉経後の女性につきやすい。
つまり「体脂肪」には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の二つがあり、それらは、「中性脂肪」が変化したものであるという事です。
中性脂肪の役割とは?
このように、中性脂肪は増え過ぎると内臓脂肪や皮下脂肪となり、肥満をはじめ、さまざまな不調をもたらします。
とはいえ、中性脂肪は「体内のエネルギーが不足した時、代役となる」という大事な役割も担っています。
体を動かすエネルギー源は、基本的に糖質です。
パンやご飯、麺類などをはじめ、炭水化物に多く含まれる糖質は、人間が日常生活を送る上で欠かせないエネルギー源です。
この糖質(糖分)は通常、血液の中に含まれており、エネルギーが必要な筋肉へ適宜、運ばれています。
しかし、偏った食生活や無理なダイエットによって、この糖質の量が減ると、代わりに中性脂肪が使われるのです。
中性脂肪は人間の体にとってなくてはならない存在です。
しかし、これが適量であるうちはまだ良いのですが、体内で増え過ぎると、体にさまざまなトラブルを引き起こします。
その代表的なのが肥満です。
生活習慣病である動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症など、多くの病気が肥満を原因として起こります。
また、中性脂肪が体内で増え過ぎると、血液がドロドロになるという問題もあります。
これは最近、特に注目されているテーマで、中性脂肪が増えると脂質の代謝異常が起こり、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加します。
その結果、不要なコレステロールを肝臓に運搬する善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少して血液中に脂質が増え、“ドロドロ血”になってしまうのです。
血液がドロドロすると、血管を詰まらせたり、傷つけたりして動脈硬化を進行させるリスクがあります。
さらに、余分な脂質が血管壁に入り込んで血管をふさぎ、心臓病や脳卒中を引き起こす危険もあります。
中性脂肪を減らすためにやってはいけない食事方法とは?
中性脂肪が増えてしまった原因は、多くの場合、偏った食生活です。
なかでも、食べ過ぎや偏食が大きな原因です。
そのため、健康診断で「中性脂肪の数値が高めですね」と言われた場合、はじめに指導されるのが食事内容の改善です。
とはいえ、自己流に間違った食事方法を続けてしまうと、身体に危険がおよぶ可能性があります。
ここでは、勘違いから取り入れてしまいがちな、誤った食事方法を挙げてみましょう。
(1)極端な「糖質制限」「糖質オフ」
糖質制限や糖質オフなどに関する情報がメディアでは多く出回り、それに関連した商品もたくさん登場しています。
しかし、本当に糖質は悪モノなのでしょうか?
そもそも糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもの。
これを取り過ぎると、確かに肥満症の原因となり、中性脂肪を増やします。
しかし、人間の活動エネルギー源となるものは糖質。
特に脳は、血液中の糖質(ブドウ糖)が主なエネルギー源なので、極端に糖質が不足すると、意識障害などが起こることもあります。
糖質を完全にカットするのではなく、“食べ過ぎに注意する”ことが必要です。
(2)油や脂質を完全に摂らない
中性脂肪を減らしたいからといって、油を完全に摂らない食事も好ましくありません。
確かに、油がギトギト光るような揚げ物や、トランス脂肪酸を含むマーガリン、砂糖や乳脂肪をたっぷり含む高脂肪のケーキなどは、あまり良いものではありません。
たまに食べるくらいなら良くても、日常的に食べれば、たちまち中性脂肪は増え、肥満症は加速するでしょう。
しかしその一方で、魚の油に多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、血液をサラサラにする効果が期待されます。
大切なのは、完全に油や脂質をカットするのではなく、「良質の油を摂る」ということなのです。
(3)コレステロールを摂らない
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が体内で増えると、血液はドロドロになり、脳梗塞などを起こしやすくなります。
しかし、コレステロールをまったく摂らない食事もNGです。コレステロールも、人間が健康を維持する上で、必要な栄養素なのです。
コレステロールは、リン脂質とともに細胞膜の材料になります。
体内では、常に古い細胞は死に、新しい細胞に入れ替わっています。
そのため、新しい細胞の材料となるコレステロールは欠かすことができません。
また、コレステロールはさまざまなホルモンの材料にもなります。
以前は「1日に卵はひとつだけ」と言われていた時代もありましたが、厚生労働省は2015年、日本人の食事摂取基準からコレステロールの上限値を撤廃しました。
とはいえ、食べ過ぎは栄養の偏りを生みますから、適度にバランスよく摂ることが大事です。